金谷さおりブログ きみのゆめ農園

Saori Kanaya Private Blog

言わない方がいいこともある

【自閉症児の育児】「言わないほうがいいこともある」

仕事に夢中になっている間に、あっという間に夏休みも終わり、季節はもう秋。
子どもたちは毎日運動会の練習をガンバっているようで、組体操が難しいだの、リレーの選手に選ばれなかっただの、家に帰っても運動会の話題でにぎやかにしています。

3年生になり、少しずつ学校生活に落ち着きを見せてきた自閉症の次男。
運動は苦手なうえに、みんなと一緒に歌ったり踊ったりするのも苦手なので、毎年私は子どもたちの競技以外のことでハラハラドキドキしていましたが、今年はどうなることでしょうか。

今年度から次男は学校内に新しくできた「サポートルーム」という発達障がい児専門クラスに、週2時間通っています。
昨年度までは、そのような専門のクラスに通うとなると、他の小学校まで毎週通級しなければならず、保護者の送迎が必要という条件付きであったため、共働き家庭ではとても利用できる支援サービス内容ではありませんでした。
それでも次男が自閉症と診断されたときには、小学校の面談時に「コーディネーター」と名乗るおばちゃんが現れて「学校では対応できないから仕事を休んででも通級させてほしい」と言われ、カチンときたことをよく覚えています。
当時の次男はコミュニケーションに困難はあるものの学業の遅れはなく、障がいもごく軽度であるため、特別支援学校に転校することや、ゆくゆくは障がい者雇用で働いていくような将来像は考えられませんでした。
この後の人生も障害のない子と同じように受験をして、就職をして、経済的に自立していかなければならない現実に直面していくうえでは、学力を下げないためにも授業はなるべくみんなと一緒に受けてほしいことや、少人数で守られた世界の中では本人の困難が出てこないという特徴も含め、週1日特別クラスに通級することは、どうしても適切とは思えなかったのです。
既存のサービスに子どもを(親も)当てはめようとするコーディネーターの物言いが、非常に不快でした。

しかし、今年度からは学校内に新たに「サポートルーム」という支援ができ、障がい児専門の先生が決まった曜日に来てくれることになりました。
次男のように学校生活に困難を抱えている子は、決まった曜日の数時間だけサポートルームで個別指導を受けることができます。
次男が通うのは、月曜日の3、4時間目。1週間のうち2時間程度であれば、学業の遅れもそれほど心配することなく、本人も負担の少ない中で支援を受けることができ、非常にありがたいサービスです。

自分だけ決まった時間に他の子とは違う授業を受けることについて、次男はどのように受け止めるだろうと心配をしていましたが、サポートルームの先生はさすが専門家です。初回から次男の反応は「すごく楽しかった!」と大喜び。
毎回先生が書いてくれる連絡帳も「ママが楽しみにしていたものだよ!」と真っ先に出してくれるようになりました(他の提出物は一切自分からは出さないのですが…笑)。

4月当初は先生2名と次男とでリトミックや工作を行い、少しずつ慣れてきた頃から、2時間のうち1時間は他の生徒さんを呼んで2~3名でコミュニケーションを学んだり…。
教室では大騒ぎなのに、サポートルームではとても落ち着いている次男は、ある日「オレは3人以上になるとダメなんだ…」と言い、自分自身に対する理解を深めている様子が伺えて、とても嬉しくなりました。
何が苦手なのかが理解できれば、その対処法を考えていくことができますからね。

2学期からは、今まで通り1時間はサポートルームで過ごし、もう1時間はみんなと一緒に授業を受けているところをサポートルームの先生が観察して、どんな言動が適切ではなかったのかを振り返る支援を受けています。

先日は、遅れて登校した友達に「今頃来たのか、遅いんだよ!」と見たままを大声で言っていたそうで、それを例にしたソーシャルスキルトレーニングを行ったとのこと。「思ったことをすぐ言ってしまうAさん」という架空の人物を仕立てると、「それ僕のこと?」とすぐに気づき(笑)、「言わないほうがいいこともある」ということを自分で考えることができたそうです。

ついつい私が注意すると、「なんでそんなこと言ったのよ?」と叱ったり、「言われた子は具合が悪くて病院に行っていたのかもしれないよ。そんなこと言われたら傷つくよ」と(自閉症にとっては一番苦手な)相手の気持ちを考えさせようとする声かけをしたりしてしまいます。
それよりも、「言わないほうがいいこともある」とひとことでピッシリと伝えてあげる方が、次男にとっては分かりやすい声かけです。

本当は、してはいけない理由をしっかりと考えてほしいけど、それを考えているうちに分からないまま時間がたって、次のしてはいけないことをしてしまう次男。
物事の良し悪しを、ひとことで伝えることの大切さを、私もあらためて学びました。

その日の連絡帳には、次男の字で「言わないほうがいいこともある」としっかり書かれていて、覚えたことを嬉しそうに私に報告してくれました。